【連載】Vol.005 3 of 5 サッカー香港代表・中村祐人という生き方
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---続いて、ファンとの交流イベントについて聞かせてください。香港プレミアリーグの独占放映権を持つ東方新聞社傘下のメディア企画で、Facebook上でファンからテキストで寄せられる質問に選手が直接答えるという企画でした。これも試合がないこういう時期に選手からファンへメッセージを送れる素晴らしいものだと感じました。
中村祐人「そうですね」
---この中でいくつか気になる質問と回答があったので聞かせてください。まずはこれです(日本語訳は筆者)。当然ファンからの質問に正直に答えた結果だと思いますが、このようなお考えを持っていたんですね。
ファンからの質問:香港代表はどんなスタイルのサッカーを目指していくべきと考えますか?また日本サッカー協会にはアジア各国のサッカーの発展を支援するプロジェクトがあるそうですが、香港サッカーを支援してくれるんでしょうか?
中村祐人:香港人には技術とアジリティがありますが、高さと強さはありません。そう考えると、日本のサッカーを参考にしたらいいと思います。また日本サッカー界が香港に協力できたらいいですね。日本のユース年代のシステムと、指導者の発展システムは素晴らしいものがあり、私もたくさん学びたいと思っています。
中村祐人「はい。でも参考にすればいいというだけで、香港には香港独自のスタイルがあります。外国の文化を積極的に取り入れるという姿勢もありますし。なのでそういうスタイルは尊重しつつ、でも例えば韓国のスタイルは踏襲できませんよね。そういう意味で日本のほうが参考にしやすいと思います。それにユースの指導体系なんかも日本はいいものがあるので、それでこのような答えました」
---なるほど。単純に日本を真似ればいいということではなく、香港独自のスタイルやこれまでの積み重ねを尊重しつつということだったんですね。
中村祐人「はい。企画内ではできるだけ簡潔に答えたかったのでそこまで言及できませんでしたが、そういう意図です」
---日本のJリーグもそうでしたが、日本代表が強くなるためには日本人選手がどんどん海外に出たほうがいいと言われてきましたし、今でもそう発言する選手がいます。そういう意味でこの質問なのですが、香港でもたくさんの香港人選手が日本をはじめ海外リーグでプレーするようになれば、香港代表の強化の加速化につながると思いますか?
中村祐人:もちろん。でも多くのことに適用する必要があると思います。香港人選手がJ1クラブでプレーするところを見たいですね。それは私の夢のひとつです。
中村祐人「もちろんそうだと思います。今でも中国リーグでプレーしている選手がいますが、他にも韓国やタイ、もちろん欧州でも、いろんなところでプレーする香港人選手がいていいと思うし、その中で結果を出して成功する選手が出てくれば、その子はもう香港ではスーパースターですから、そうなれば香港サッカーはもっと盛り上がると思うし。そういう意味では外へ出ていくことは必要なことだと思います。どうしても香港にいる子たちは内弁慶な子が多いので。若いうちからどんどん外へ出ていって、自分の可能性に蓋をするのではなく、チャレンジしていったほうがいいと思います」