【連載】Vol.004 2 of 5 サッカー香港代表・中村祐人という生き方
自身について 2 of 5
---Taipo FCに移籍後、最初の試合こそベンチスタートだったものの、その後はすべて先発出場が続いています。まず、ご自身のコンディションはいかがですか?
中村祐人「すごくいいですよ。やっぱり試合に出られることでコンディションを上げていくことができますからね。Taipo FCのファシリティは傑志に比べると劣りますが、その分、妻のサポートも受けながら自分で調整しています」
---試合勘ももう問題ありませんか?
中村祐人「ありません。ずっと続けて出られているし、それにチームの雰囲気もいいですから、すごくいい状態でプレーできています」
---メンタル面も問題なさそうですね。
中村祐人「はい。移籍前はベンチにすら入れませんでしたからね。それを考えれば、本当に試合に出続けられて、メンタルも含めてコンディションはすごくいいです」
---Taipo FCで任されているポジションはセントラルのMFですね。
中村祐人「そうです。うちは4-3-3のシステムなんですが、その中盤の3の真ん中ですね」
---ボランチと言った方がいいくらい守備にも関わりますか?最終ラインまで下がるくらいの。
中村祐人「いや、あまりそこまでではないです。うちの戦術としてかなり高い位置からプレッシングをかけていくので。もちろん、チームの守備としてリトリートしている時は下がりますし、相手のカウンターで危険だと思ったら最終ライン近くまで下がることもありますが」
---今季は今のところゴールはひとつですが、ゴールに直結するポジションで常にプレーしているわけでもないのですね。
中村祐人「そうですね。それに今はシュートも無理して打ちにいっていません、無理すれば打てないことはないのですが。それよりもアシストだったり、またアシストのもうひとつ前のプレーだったりを重視しています。自分で得点を取りに行くことにはフォーカスしていません。そこよりも、もちろん選手全員がそうですけど、僕自身もチームを勝たせるためのプレーができているという自信がありますし、また僕もそこを目指してプレーしているので」
---お話を聞いていると、中盤でだいぶ「自由に」というか、場面場面で、中村選手自身の判断でプレーをしている印象があります。
中村祐人「そうですね。そういうプレーをしていても監督から特に何も言われていませんし、信頼してもらっているのではないかと思いますね」
---Taipo FCに加入したのは9月末のことでした。チームにはすんなり溶け込めましたか?
中村祐人「はい。特に、移籍後の試合ですぐにゴールを奪えたのが大きかったですね」
※移籍後初の公式戦となった第3節、アウェイの強豪イースタン戦。68分に途中交代でピッチに入ると、2-3とリードされていた試合終了間際の86分、値千金の同点ゴールを決め、試合は3-3で終わった。
---やはりゴールという結果を出すと、違うものですか?
中村祐人「そうですね。特にあの試合は移籍してまだ数日しか経っていなかったし、相手が強かったっていうのもありますし。今振り返ると、あの試合でゴールを決めたことはチームに溶け込んでいくためによかったと思いますね」
---少し時間は経ってしまいましたが、あのゴールを振り返ってもらえますか?
中村祐人「ドリブルしていて、ゴールというよりは、相手DFの股を狙って打つことだけを考えていました。それで相手を引き付けて、狙い通り股の間を狙って打ったら、ゴールのいいところにボールが行ってくれたという感じですね」
---中村選手は香港プレミアリーグで長年のキャリアがあります。Taipo FCに移籍してきて、周りの選手が中村選手を見る目というのは、経験豊富な選手が来たという目線なのか、それともまったく新しい選手が来たぞという感じだったのか、その辺りはどうでしたか?
中村祐人「まぁおっしゃるように僕は香港でプレーして長いですから、僕のことを知っている選手がほとんどですね。このチームには若い選手がいっぱいいますけど、若手も僕のことを知ってくれているし、そういう意味では経験豊富な選手が来たと思われているんじゃないですかね」