【連載】Vol.003-4 サッカー香港代表・中村祐人という生き方
そんな中村祐人のサポーターにとって救いとなるのが、本人の姿勢だ。私がビデオ通話でインタビューした限り、中村祐人はすでに気持ちを切り替えており、いやむしろ、試合に出られる可能性が増えたことで前向きな状態にあり、声や表情も普段通りの彼だった。インタビューの翌日には早速Taipo FCの練習に参加することも決まっており、監督も選手も新しくなったチームに合流するのが楽しみな様子であった。繰り返すが、プロサッカーの世界では試合に出られなければ評価はされない。たとえそれが世界に名だたるビッグクラブであろうと、試合に出なければプレーをチェックしようがないからだ。そして、プレーしなければ、当然ながらあらゆる選手が目指す各国の「代表チーム」に召集されるのも難しい。2019年は残すところ、10月と11月にナショナルチームの試合がスケジューリングされているが、10月シリーズに向けた香港代表は先日33名の候補選手を発表した。残念ながら中村祐人は選ばれなかった。次のチャンスは11月だが、そこに向けてアピールするためにも、クラブでの試合出場が必須となる。そして、中村祐人の中にはもちろんそこに向けたイメージがある。新チームに合流し、100%でトレーニングに励み、試合に出場してチームを勝利に導き、そして再び代表のユニフォームに袖を通すイメージが。
続く