【連載】Vol.004 5 of 5 サッカー香港代表・中村祐人という生き方
香港の現状について 5 of 5
---すいません、政治的な色を記事で出すつもりはまったくありませんが、これだけ連日ニュースになっていますので、香港の現状についても聞かせてください。中村選手は今の香港の状況に何を感じていますか?
中村祐人「そうですね…。まぁ早く平穏な香港に戻ってほしいとは思いますね。まさか香港がここまでになるとは思いもしなかったですから。催涙弾の音がそこら中で鳴り響く状況というのはね…」
---「デモに賛成か反対か」という政治的、またはイデオロギー的な意図の質問ではなく、デモが続いていることについてはどう感じてらっしゃいますか?
中村祐人「早く収まってほしいと思いますね。仕事に影響しますから。最近では※大学でも衝突が起きたじゃないですか?そこは僕の家と目と鼻の先ですからね」
※中村選手が語っているのは香港理工大学におけるデモ隊と警察の衝突のこと。一方のメディアは「デモ隊が香港理工大学に立てこもった」と報じ、一方のメディアは「警察がデモ隊を香港理工大学に押し込めて逃げられなくさせている」とも報じている。
---確かに、中村選手のご自宅から香港理工大学はすぐ近くですね。香港理工大学の衝突については日本でも大きく報じられました。
中村祐人「なので早く平穏な香港に戻ってほしいと思いますね。それも暴力のないかたちで。うちは11月のある週なんて、丸々1週間チーム練習ができなかったですから」
---えっ!それは大ごとですね。原因はやはり交通機関の麻痺によるものですか?
中村祐人「そうです。ホームグラウンドには(交通機関の麻痺によって)集まれないから、別の候補地を立ててそこに集合して練習しようと試みたのですが、それも数人しか集まれなかったですからね」
---ほかのチームも同じ状況だったのでしょうか?
中村祐人「他チームはそれでも何とか練習できてたみたいですね。うちだけはちょっと特殊で、ホームグラウンドがちょうど道路が封鎖されてしまったところにあるんです。電車も駅が封鎖されましたからね」
---それは大変ですね。デモが行われているところに近づかなければ身の危険はないかもしれませんが、公共交通機関が正常に機能しないと日常生活に影響が出ます。チームメイトとはこの件について話したりもしますか?
中村祐人「全然しますよ。デモに参加する選手もいますしね」
---あ、そうなんですね!ちなみに中村選手はデモに参加したことは?
中村祐人「ありません。怪我したら大変ですからね。でもここ数日は※選挙があったので割と平穏な香港に戻りましたね。選挙が終わったから、これからまたどうなるのかわかりませんが」
※11月下旬に行われた香港の区議会選挙。選挙を予定通り実施させるため、投票日までの1週間、デモ隊は静観状態に入ったと言われている。
---とにかく、一日も早く香港に平穏が戻ることを願うばかりです。本日は、誠にありがとうございました!
了