【連載】Vol.005 1 of 5 サッカー香港代表・中村祐人という生き方
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---まずお聞きしたいのは、香港サッカー協会が発表した新しいスケジュールです。8月中旬に今季を再開し11月初旬に閉幕。そのままその月の下旬から新シーズンが始まるとのことです。率直にこのスケジュールについてどう感じておられますか?
中村祐人「まず以前にも少しお話しましたが、香港リーグではリーグのスケジュールを冬開幕にするという議論がなされています。それが来季は適用されないことになったわけで、そうなると当然、将来的に移行する時に半年間ほど空白期間ができてしまいます。今季はすでにコロナの影響で空白ができているので、そういう意味では移行のひとつの機会ではあったとは思いますが…。ただ、たくさんの選手が今回の決定により(契約面などで)救われる部分もあるので、それはよかったなと思います」
※香港リーグの冬開幕への移行は以前、インタビューではなく個人的な会話で筆者が中村祐人から知らされていた。日本、韓国、中国はじめアジアの主要リーグは冬に開幕し秋に閉幕する「春秋制」を採用しており、アジアの国際大会もそのスケジュールがベースとなって組まれるが、アジア最古のプロサッカーリーグであり長年英国の占領下にあった香港では現在も「秋春制」を採用しており、その意味においてアジア主要リーグの中ではスケジュール的に異色の存在となっている。
---さらに4月30日の香港サッカー協会のアナウンスによると、レンジャース、元朗(ユンロン)、ペガサスの3チームが今季の残り試合に参加しない方針を表明したとありました。これについてはどう感じていますか?
中村祐人「残念は残念ですけど、今、コロナで世界情勢がこんな状態ですから、そういうチームが出てきても仕方がないのかなとは思います。そういう決定を下した人も苦渋の決断だったと思いますし、それを考えるとその決断をリスペクトしたいなと思います」
---他チームのことなので中村選手に聞くのは筋違いかもしれませんが、やはり財政的な理由がこの決定の背景にはあるのでしょうか?
中村祐人「そうだと思います。今年の2月からはホームゲームを主催できず、試合をやるごとに赤字になる状況で、どのチームも財政的に困難であったと思います」
※2月以降はリーグ戦は休止。カップ戦は行われたがコロナ影響が少ないと思われるスタジアムでのセントラル方式だったため、各クラブはホームスタジアムでの試合開催ができない状態であった。
---この3チームの今季の処遇についてはまだ議論が続いているようですが、いずれにしろスケジュール以外にもイレギュラーが発生した中でリーグ戦が再開されることになりそうですね。
中村祐人「そうですね。もうこの状況の中では仕方ない部分もありますし、選手としてはリーグのレギュレーションがどうなろうが、公式戦の再開時に100%の力で臨めるように準備するだけだと思っています」